Population

人口変化とその影響を明らかにし、変化対応を支援するブログです。

未来の予測に最も役立つ人口学

現代は変化の激しい時代であり、1年後に何が起きるかを予測することでさえ難しくなっています。そんな時代だからこそ、自分の進むべき道や会社の将来性、日本の経済運営を考える際には、変化の方向を見定める必要があります。


未来の予測に最も役立つ学問として、人口学が知られています。なぜ人口学なのかというと、経済や社会予測と比較して遥かに正確な予想が可能だからです。例えば1963年の国連世界人口推計は、2000年の世界人口を61億2973万人と予測しましたが、実際の2000年の人口は61億2412万人であり、その差は561万人にすぎません。*1約40年後の推計が実際とわずか0.09%の誤差しかないことは、人口学の予測精度が驚くべき高水準にあることを示しています。一方で、政治や経済の予測は非常に困難です。40年前に、ベルリンの壁崩壊、ソ連の崩壊、アジア通貨危機、IT革命、携帯電話の普及などを予測した人がどれだけいたでしょうか。GDP成長率の予測に至っては、3ヶ月後の予測でさえ1%以上ずれることも珍しくなく、40年後のGDPを0.09%の誤差で予測するなど不可能です。


人口学の予測の精度が高いのは、変数が少ないためです。人口は、『出生』・『死亡』・『移動』という三つの独立的な要因の総合効果で決まります。たった三つの変数で予測できることが、人口学は未来の予測に最も役立つ学問だと言われる理由です。忘れがちですが重要なのは、人口が単に『出生』の増加や減少で決まるのでなく、『死亡』や『移動』の動向の影響を受けるということです。


人口推計は、1960年代には日本に高齢化が訪れることを、1980年代には人口減少の時代が到来することを予測していましたが、現在の日本は実際に予測された通りの経過をたどっています。今後についても、労働力の半減、40%を超える高齢化率、6割以上の人口減少などが予測されています(詳しくは過去のエントリーよりhttp://d.hatena.ne.jp/Kamiishi/20101003/1286116676)。これからどのような人生を歩むのか、どこに就職してどのように働くか、日本はどのような国になるのか、どこの国に投資をするべきかなど、未来のことを考える際に、人口学は最も役立つ学問だと思います。

*1:河野稠果(2007)『人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか』を参照