Population

人口変化とその影響を明らかにし、変化対応を支援するブログです。

急成長するアジアが“喉から手が出るほど欲しい”日本にしかないもの

中国や韓国などアジア各国で経済の急成長が続いています。そんなアジアで上手にビジネスを展開するには、当たり前のことですが、まず相手が何を求めているかを知る必要があります。1970年代にはODAや直接投資などの資金援助を日本に求めたし、その後は鉄鋼や自動車などの製造ノウハウを求めました。相手が求めているものにビジネスチャンスがあるわけですが、現在の急成長するアジアが日本に求める“喉から手が出るほど欲しい”ものって何でしょうか。



現在アジアが一番欲しいものは、『少子高齢化問題を上手に乗り切る方法』です。
なぜかと言えば、(1)今後アジアでは少子高齢化が凄まじい勢いで進むが、(2)高齢化の経済面への打撃が日本以上に深刻であり、(3)それを解決する方法が全く分からないためです。



アジアというと若い人が多くて活気があるイメージが強いけど、将来は『高齢者の人口爆発』が発生して老いてゆく地域です。インドを除くアジアの高齢化率は、2005年には7.8%とほぼ世界平均の水準にありますが、2025年に13.8%、2050年には23.1%へ急上昇します。インドを除くアジアの人口の世界に占める割合が、2005年の30.5%から2030年には28.4%へ低下する一方で、高齢人口の占める割合は32.1%から35.1%へ上昇します。つまりアジアは、今後世界の中でも高齢化が最も速く進む地域になります。アジアは世界で最も高齢者の多く住む地域となり、2030年には高齢人口は欧州の2.5倍になります。*1



しかも、アジアでは少子高齢化の経済面への打撃が、日本以上に深刻になると予想されています。日本は人口ボーナスと呼ばれる労働者が多い段階で、1人当たりGDPが30,000ドル以上にまで成長しました。一方であと5年で人口ボーナスが終わるとされる韓国や台湾の1人当たりGDPは約15,000ドル(2005年)だし、タイに至っては1人当たりGDPが2,728ドル(2005年)と、日本並みの経済水準に至る前に少子高齢化が深刻になります。今の日本でさえ少子高齢化で年金や社会保障制度や国家財政をどーするか悩んでいるのに、経済が日本ほど成長しなかったこれらの国は「どーすればいいの!?」とお手上げ状態です。



しかもしかも、高齢化の経済面への打撃が日本以上に深刻であるにも関わらず、その解決方法が全く分かりません。韓国や台湾は製造業の製造ノウハウを日本から、IT産業のノウハウを米国から学びましたが、『少子高齢化問題を上手に乗り切る方法』なんて学べる国がありません。なぜなら、急速な少子高齢化を乗り切った国なんてどこにもないからです。唯一アジアに処方箋を出せる可能性のある国があるとすれば、それは日本です。急速な経済発展を遂げた後に少子高齢化が深刻になった国って歴史上に日本しか存在しないためです。



繰り返しますが、急成長するアジアが“喉から手が出るほど欲しい”日本にしかないものは『少子高齢化問題を上手に乗り切る方法』です。様々な高齢化関連産業や社会保障制度を作り上げていくことは、日本の国益だけでなくアジア全体に貢献することでもあります。社会が少子高齢化に向かうことで発生する様々なビジネス、安心して生活できる持続可能な社会保障制度、高齢化率が40%を越えても成り立つ地域社会の形などを模索し、そのベストプラクティスをアジアを含む全世界に展開すること、これが海外から見た日本の使命だと思います。

*1:大泉啓一郎(2007)『老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき』より