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Population

人口変化とその影響を明らかにし、変化対応を支援するブログです。

少子化は第二次世界大戦と同じ構図〜日独伊三国同盟がABCD包囲網に再び敗れる〜

第二次世界大戦は、1939年から1945年にかけ、ドイツ、イタリア、大日本帝国の日独伊三国同盟を中心とする枢軸国陣営と、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連などの連合国陣営との間で戦われた全世界的規模の戦争です。アメリカ(America)、イギリス(Britain)、中華民国(China)、オランダ(Dutch)の頭文字をとった『ABCD包囲網』という貿易制限の影響もあり、日独伊三国同盟は戦争に負けました。これと全く同じ構図が、現在の世界の少子化にも当てはまります。



現在の少子化は第二次世界大戦と同じ構図であり、日独伊三国同盟ABCD包囲網に再び敗れようとしている状態です。つまり、日本・ドイツ・イタリアで少子高齢化が深刻な一方で、アメリカ・イギリス・オランダなどは少子高齢化が深刻じゃないということです。下図はOECDによる『合計特殊出生率に対する家族政策強化の効果』*1のシュミレーションですが、『現在の出生率』を示す棒グラフの紫色の部分を見ると、日本の出生率は1.3、イタリアは1.2、ドイツは1.4とかなり低いです。一方で、イギリスは1.7、オランダは1.7、アメリカは2.0とかなり高いです。儒教国の日本や韓国が出生率低いのは分かるけど、ギリシャとかイタリアとか地中海沿岸の国が出生率低いのは意外です。




このグラフは、各国が正しい少子高齢化の対策を行った時に、出生率がどれだけ回復するかをシュミレーションしたものです。OECDの研究によると、現在の少子化は以下の4つの少子化対策が十分に行われていないために起こるとされています。すなわち、①育児費用が家計を圧迫するために税金控除や子供手当の増額を行うこと、②育児休暇期間が短いのでこれを延長すること、③正式な保育施設が十分にないのでこれを増加すること、④パートタイムで働ける就業機会を増やすこと、の4つです。そして、この4つの少子化対策が実施された場合に出生率がどれだけ回復するかの値が、グラフの一番上の数字です。



ここで注目すべきは、日本とドイツの値が全く違うということです。日本は①と③が問題になっています。つまり、税額控除や子供手当の増額によって育児費用を下げ、十分な保育施設を作れば、出生率が2.0まで回復する可能性があるということです。日本は『理想子供数』が2.48人*2と高いため、少子化の障壁を取り除けば問題が解決する希望があります。一方でドイツはもう既に手厚い少子化対策が実行されるのに低い出生率となっています。いくら保育所を作ろうが、子供手当を配ろうが、出生率は1.4のまま変わらないということです。ドイツは『理想子供数』が1.52人とかなり低いので、どんなに対策しても効果が出にくいです。これは希望がないに等しい・・・恐らく移民を受け入れながら少子化と向き合うのだと思います。




<まとめ>
・少子化が深刻な国   :日本、ドイツ、イタリア
・少子化が深刻でない国:アメリカ、イギリス、オランダ
・日本は、①税額控除や子供手当の増額、②保育施設の増加、で出生率が2.0まで回復する可能性がある。
・一方ドイツは、既に少子化対策が実施されている他、理想子供数が低く、出生率回復の可能性は低い。



少子化を解決するためには、税額控除や子供手当の増額、保育施設の増加、の2つが日本では最優先です。出生率が2.0まで回復する見込みがあるうちに政策が出ないと、ドイツみたいに理想子供数が下がり、少子化が是正できなくなりますよ〜。

*1:OECD, Trends and Determinants of Fertility Rates: The Role of Policies Anna Cristina d'Addio and Marco Mira d'Ercole (November 2005)http://www.oecd.org/dataoecd/7/33/35304751.pdf

*2:2005年国立社会保障・人口問題研究所の調査結果より