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日本が高齢化先進国になると予測する5つの理由

2011年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。


年末年始に本屋に行くと、将来予測に関する特集をくんだ雑誌がたくさん置いてあります。2011年のプロ野球の順位がどうなるのか、来年のヒット商品は何なのか、10年後の日本経済はどうなるのか、といった類のものです。そこでこのブログでも、日本がどういう国になるかの将来予測をしたいと思います。結論から言えば、40年後の日本は『高齢化先進国』として世界から再び注目を集める国になると考えています。その理由は以下の5つからです。



1.日本で少子高齢化が急速に進展する
日本では凄まじい勢いで少子高齢化が進んでいます。どれくらいのペースかというと、次の図の通りです。



図の青い棒グラフは15歳から64歳の生産年齢人口を表しています。生産年齢人口とは、働き手になる可能性のある人の数、つまり労働力の数です。日本では2005年から2055年の間に日本人の労働力が半減する見込みです。また、図の赤い折れ線グラフは日本における65歳以上の人口の割合を示しています。この図が示す通り、高齢者の割合は50年間で20%から40%に倍増すると予測されています。2050年には日本人は5人に2人が65歳以上の高齢者になるということです。つまり、今後日本では労働力が半減し、高齢者が倍増すると予測されています。このような急速な少子高齢化の進展は、社会保障制度に変革を迫るだけでなく、経済構造、政治制度、家族形態など日本のあらゆる制度を根底から覆すインパクトがあります。


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2.日本の少子高齢化は海外に10年以上先行している
日本では凄まじい勢いで少子高齢化が進んでいます。どれくらいのペースかというと、次の図の通りです。


この図は最新の高齢社会白書から引用したもので、世界の高齢化率の推移を示しています。赤い線が日本です。このグラフから分かることは2つあります。1つ目は日本の高齢化率が欧米やアジアと比べて最も高いという事実です。欧米で最も深刻な高齢化が予測されるイタリアやドイツに対して、日本は10年以上高齢化で先行しています。2つ目は全ての色のグラフが右肩上がりであり、世界中で高齢化の進展が予測されるということです。世界で高齢化が進めば、高齢化関連産業の市場規模が拡大することになります。日本は高齢化を世界に10年以上先駆けて経験するので、高齢化関連産業の市場が真っ先に立ち上がり、そのビジネスのノウハウを最も蓄積することが出来ます。そして、先行者利益と経験効果をもって日本はこのビジネスで世界を席巻できる可能性があります。



3.日本ではお金の大半を高齢者が持っている
ご存知の方も多いと思いますが、日本ではお金の大半を高齢者が持っています。下の図は年代別に見た金融資産の分布状況です。


日本では60歳以上の人が約60%の資産を持ち、50歳以上の人が約80%の資産を持ち、40歳以上の人が約95%の資産を持っています。39歳以下の人はほとんど資産を持っていません。20代の人なんて全体の0.5%しか資産を持っていないので、去年騒がれた若者のクルマ離れとか新聞離れとかは当たり前の現象です。高齢者が大半の資産を持っているため、日本では高齢化関連産業が育つ余地があります。今後さまざまな人が日本の成長戦略を考えた場合、アプローチや価値観は様々であったとしても、60歳以上の人にいかにお金を使ってもらうかが鍵になるはずです。



4.高齢者が一番お金を使っている
高齢者はお金を使わないと言われますが、意外なことに日本では高齢者が一番お金を使っています。下の図は年齢階級別の平均消費性向の推移です。平均消費性向とは、個人が自由に使えるお金のうち、どれくらいを消費に回しているかを表す指標です。

茶色い線が60歳以上の平均消費性向ですが、他の年齢層に比べて断トツに高いです。しかも平成13年から基本的には右肩上がりのトレンドにあります。これは60歳以上の人が持ってるお金を少しずつ使うようになっているということを示しています。一方、59歳以下の平均消費性向の推移を見ると、過去10年間横ばいで推移しているのが分かります。人には将来の不安の為に一定割合を貯蓄にまわそうという習性があるので、59歳以下の平均消費性向は70前後が実力であり均衡点であるという気がします。資産を持っている割合だけでなく消費性向からも、高齢化関連産業の拡大余地が伺えます。



5.企業が少子高齢化に対応できていない
日本で少子高齢化が進展し、高齢者がお金を持っていて、そのお金を使う割合も増えているのに、日本では未だ高齢化関連産業が育っていません。例えば、日経ビジネスが毎年発表する2010年のヒット商品ランキングを見ると、1位はtwitter、2位はiPadです。これらはどう考えても高齢者向けのビジネスではありません。他のランキング上位商品を見ても、少子高齢化の社会変動に伴う産業の商品やサービスは入っていません。人口構成や資産分布から考えれば、60歳以上向けのサービスがランキングの6割を占めてもおかしくないはずです。なぜこういう事態が発生したかといえば、企業が少子高齢化に対応できていないからです。企業の商品企画やマーケティングを担当する人は20〜50代である可能性が高く、高齢化関連産業のニーズを掴み切れていません。裏を返せば、上手な企画やマーケティングさえできれば、日本では高齢化関連産業が爆発的に伸びる可能性があるとも言えそうです。



<まとめ>
1.日本で少子高齢化が急速に進展する
2.日本の少子高齢化は海外に10年以上先行している
3.日本ではお金の大半を高齢者が持っている
4.高齢者が一番お金を使っている
5.企業が少子高齢化に対応できていない


上記5点の理由から、日本では高齢化関連産業が今後発展し、その産業が世界で優位性を持つ可能性が高いとみています。そして、40年後の日本は『高齢化先進国』として世界から再び注目を集める国になると考えています。





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【講演会告知】9/7(金)19:00-21:00『人口減少と日本経済の進路』藻谷浩介(日本総合研究所調査部主席研究員)



<書評一覧>
No.1→少子社会日本-もうひとつの格差のゆくえ/山田昌弘
No.2→医療戦略の本質―価値を向上させる競争/マイケル・E.ポーター、エリザベス・オルムステッドテイスバーグ
No.3→利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学/牧尾英二
No.4→50以上の世界―「標準世帯」の終わり・から/油谷遵、辻中俊樹
No.5→デフレの正体 経済は「人口の波」で動く/藻谷浩介