Population

人口変化とその影響を明らかにするブログです。会社で暇なときに読んでためになるサイトを目指します。少子化、高齢化、人口減少、非婚、晩婚、移民など。

人口減少を考える7つのポイント

日本は世界に例のない少子高齢化の先進国です。少子高齢化が進展する国では様々な問題が発生しますが、その中でも深刻なのは労働人口の減少です。日本の未来は、労働人口の減少がもたらす人口オーナス(負荷)のデメリットをいかに緩和するかにかかっていると言っても過言ではありません。少子高齢化を中心に日本経済を研究している小峰隆夫教授によれば、労働人口減少を考えるには以下の7つのポイントがあるそうです。



【ポイント1】人口予測は相対的に不確実性が小さい
世の中には様々な切り口から将来を予測する人がいますが、最も的確に将来を予測できる可能性のある分野は人口です。それは、人口に関して既に分かっている事柄が多く、将来を予測する上での仮定が少ないからです。現在日本にいる人の年齢別の分布状況や平均余命は既に分かっています。あとは出生率さえ仮定すれば基本的な人口予測が可能です。人口予測は相対的に不確実性が小さく、将来予測をする上で最も信頼できる切り口だと言われています。


【ポイント2】人口オーナスが鍵となる概念である
オーナスは英語で「重荷」を意味します。人口オーナスとは、人口の中で働く人の割合が低下することが、経済にマイナスに作用することです。日本で労働人口の割合が減った理由、言い換えれば少子化が進んだ理由としては、(1)所得水準や教育費の上昇、(2)子育てによる機会費用の上昇、(3)第一次産業の衰退、(4)社会保障制度の充実、(5)経済停滞、(6)若年層の雇用不安、などが挙げられます。特に日本の雇用慣行(年功序列・終身雇用・厳しい解雇規制)が問題視されており、これが長時間労働や単身赴任の転勤を通じて男性の家事参加を難しくしている他、長期雇用を通じて若年層に雇用調整のしわ寄せを生じさせており、少子化の原因となっています。


【ポイント3】人口は長期的な経済成長に大きく影響する
長期的な経済成長率は、人口、資本、生産性、の3点で決まります。自動車工場を例にすると、工場で働く人の数が多いほど、工場内の工作機械の数が多いほど、ベルトコンベアやかんばん方式の等の導入等で生産性が上昇するほど、自動車の生産台数は上昇します。このように人口は長期的な経済成長率を左右する重要な要素なのですが、人口オーナス下では常に人口が減るため、人口は経済成長率の押し下げる材料となります。日本は労働力の減少によって経済成長率が年間0.6%押し下げられていると言われています。しかも、少子高齢化は単に労働力人口を減らすだけでなく、資本や生産性にもマイナスの影響を与えます。例えば、高齢化によってお金を貯める人が減り、貯金を切り崩して生活する人が増えた結果、資本蓄積が進まず資本不足に陥る可能性があります。また、高齢者の増大によってシルバー民主主義が進展し、社会保障制度が現状のまま変わらなければ、若年層に税負担が偏ることで日本全体の生産性が落ちるとも言われています。



【ポイント4】人口オーナスへの対応は正当な経済政策で行うべき
労働力減少に関しては、就業率引き上げ、人的資本への投資、生産性の高い発展分野に人を振り向けることで対応すべきです。また、資本不足については、財政健全化や海外からの投資促進が基本的な対応策になります。生産性については、投資の貢献度が下がる分を埋めるべく、効率的な市場の枠組み整備、技術開発の促進、世代間の負担の不公平の撤廃などが必要と言われています。


【ポイント5】人口オーナスへの挑戦は新たな発展の機会である
少子高齢化自体は経済成長率の押し下げ要因ですが、人口オーナスに対抗することが我々の経済社会構造をより良いものにする可能性は否定できません。例えば、人手不足によって柔軟な労働移動が実現したり、生産性上昇に重点を置いた経済政策が実施されることで世代間公平が促される可能性があります。また、人口構成の変化は、購買層の変化によって、新しい成長産業や技術革新を生むでしょう。


【ポイント6】社会保障制度は実行が重要となる
色々な政党や雑誌が望ましい社会保障制度を提案していますが、内容自体の議論は10年以上前から行われているため、現在では内容の議論よりもいかに実行するかの方が重要となっています。選挙民に占める高齢者の比率が高まることをシルバー民主主義と言いますが、これにより社会保障制度の改革が年々困難になっています。後期高齢者制度なんかが典型例です。投票権の偏りだけでなく、将来世代への負担の先送りである国債の存在も、社会保障制度の改革実行を難しくしています。


【ポイント7】人口オーナスは世界的な問題である
少子高齢化は日本だけの問題ではなく、今後日本に10年遅れてイタリアやドイツ等でも問題になります。もう10年たつと、韓国や中国といったアジアの新興国でも少子高齢化が問題になると言われています。このように少子高齢化は世界的な問題です。このような問題に対して、日本は人口オーナス問題の超先進国であることから、人口面で新たな発展モデルを提示できる可能性があります。



<まとめ:人口減少を考える7つのポイント>
1.人口予測は相対的に不確実性が小さい
2.人口オーナスが鍵となる概念である
3.人口は長期的な経済成長に大きく影響する
4.人口オーナスへの対応は正当な経済政策で行うべき
5.人口オーナスへの挑戦は新たな発展の機会である
6.社会保障制度は実行が重要となる
7.人口オーナスは世界的な問題である