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人口変化とその影響を明らかにし、変化対応を支援するブログです。

今ほどKKRジャパン代表の蓑田秀策氏の生き方が必要とされている時代はない 

シェイクスピアヴェニスの商人において金貸しのシャイロックを極悪非道の高利貸しとして描いたように、金融業を営む人は昔から悪者と見なされてきた。現在においても、サブプライムローン問題を引き起こした金融機関に対する批判、返済できっこない借り手に金を貸した金融機関に対する嫌悪感は根強いものがある。実際、金融業界で働いている立場からすると、金融機関の営業員の大半は詐欺みたいな金融商品を何も知らない高齢者相手に販売しており、金融業界に対する批判が生じるのは至極当然のように思える。新入社員の頃はこのような金融機関の営業体制に大半が違和感を覚えるのであろうが、同じ仕事を数年続けると倫理感覚がマヒするし、詐欺的な商品を販売する営業体制に違和感を覚えた人は金融業界から去っていくので、残った大半の販売員が『詐欺的な金融商品を売るのも仕事でしょ』などと思うようになってくる。


しかし、金融機関で働く全ての人が知識格差(情報の非対称性)を利用した詐欺的な商売で生計をたてているわけではない。中には日本経済の発展を心から願って金融機関に入り、それを実現するだけの能力があり、そして革新的な金融技術を日本に導入した人も存在する。その代表例がKKRジャパン代表取締役社長の蓑田秀策氏である。蓑田(みのだ)氏は、みずほコーポレート銀行時代に日本における為替オプション取引制度や、シンジゲートローン市場の整備を行った人物で、現在は世界最大のプライベート・エクイティ・ファンド運営会社コールバーグ・クラビス・ロバーツの日本トップとして買収ファンドの運営を行っている。


マール3月号によると、蓑田氏は就職の際、「世界に出て、日本を強くしていきたいという気持ちでした。当時、金融の力は大きかったので銀行員になって産業金融をやろう、銀行がもつ力を使って日本を強くしていきたい」との考えから興銀(今のみずほ銀行)に入社したそうだ。その後、シンジケートローンの整備やソフトバンクのボーダフォン買収で1兆円規模のアレンジを手掛けるなど数々の偉業を成し遂げた。そして、銀行員としてやるべきことはやったと考え、56歳のときに銀行を退社した。


しかし退職後も、「仕事は何もせず、ひたすら本を読んだり、遊び回ったりしながら、次には何ができるだろうか、日本の経済を強くするためには何が必要だろうかということを、一生懸命考えました。だって、もう自分のために働くことはないのですから。実際計算したのですが、私なんかは月20万円で生活できます。年間250万円あればいい。実際女房と2人で2、3カ月実践して、できると確信をもちました。残りの人生を世の中に役立てたい。誰がやってもできるものではなく、やはり自分しかできないもの、世の中で達成が難しいことをやろうと思いました。」という考えから、KKRに入社し、現在は日本にプライベート・エクイティを根付かせようと奮闘している。


私が蓑田氏の生き方に惹かれるのは、(1)就職当時から今まで一貫して日本経済のことを考え続け、(2)それを革新的な金融技術の導入によって実際に実現し、(3)築いた地位や金銭があるにも関わらず年間250万円で生活できる大衆感覚がある、という3点からだ。どれも難しいことだからこそ、それを金融業界で働くながら実現してる人がいるというのは輝かしいことだと思う。私も日本経済の発展を考えて金融機関に就職した人間の一人なので、それを実現してる蓑田氏の生き方は良いお手本だし、彼の100分の1でも日本経済の発展につながる何かができたらと日々考えている。サブプライム問題等で金融業界に対する批判や嫌悪感が増えた現在ほど、蓑田氏のような生き方が必要とされている時代はないと思う。