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Population

人口変化とその影響を明らかにし、変化対応を支援するブログです。

3組に1組が離婚という言葉は誤り、正しい離婚のリスクは何%くらい?

3組に1組が離婚という言葉がありますが、それは誤りです。この数字の計算式は『ある年の離婚件数÷婚姻件数』ですが、この計算では実際より離婚率が高くなります。

なぜなら・・・

・上の式は結婚と離婚のタイミングの差を考慮していないため、

・少子化によって結婚適齢期の人口が毎年減少している場合には、

・少子化要因だけで離婚件数÷婚姻件数という値が上昇してしまう

からです。

 

初婚でどれくらい離婚のリスクがあるかを知りたいときには、初婚離婚率(初婚夫婦に占める離婚した夫婦の割合)や初婚継続率(初婚夫婦に占める離婚しなかった夫婦の割合) を使うべきです。

 

ただし、残念ながら、初婚離婚率や初婚継続率、離婚に占める初婚と再婚の割合、といったデータは日本の人口統計に存在しません(これは余談ですが、政府には初婚関連統計の拡充を希望します・・・そうすれば、3組に1組が離婚といった言葉が流布し、離婚のリスクが実際より高く認識されている現状が、少しは変わると思います)。

 

そのため、離婚のリスクを知るには、別な指標を使います。たとえば、*岩澤(2008)は、『離婚経験者数÷再婚を含んだ累積婚姻者数』という計算式で、女性の年齢別の離婚経験者割合を推定しています。

f:id:Kamiishi:20140508010130j:plain

この推定によれば、1955~1959年に生まれた日本人女性の50歳時点での離婚経験者割合は約18%でした。どの世代をみても現時点では20%を超えていないため、3組に1組が離婚という言葉が現時点では誤りなのが分かります。

 

ただし、離婚経験者割合は年々増加しているため、将来は18%より高くなるでしょう。

 

1955~1959年に生まれた女性と同じだけ、年齢を重ねるとともに離婚経験者割合が増加すると仮定した場合の値は以下のとおりです。

<日本人女性の50歳時点の予想離婚経験者割合>

・1965年~1969年生まれ:約25%

・1975年~1979年生まれ:約25%

・1985年~1989年生まれ:約27%

 

また、世代間で離婚経験者割合の差が今後一定と仮定した場合の値は以下のとおりです。

<日本人女性の50歳時点の予想離婚経験者割合>

・1965年~1969年生まれ:約25%

・1975年~1979年生まれ:約30%

・1985年~1989年生まれ:約34%

 

これらは 50歳時点の値のため、生涯の離婚経験者割合はより高くなります。

 

なお、上の図で私がショックだったのは、35歳以降も離婚経験者割合の増加ペースが鈍化しないことです。低年齢結婚の離婚率のたかさや、複数回離婚などから考えると、35歳以降では増加ペースが鈍化すると思っていたのですが。

 

鈍化が目立つのは25歳前後の数年間だけですね。その期間だけ離婚が減るのは、なぜなのでしょうか。人類学者のヘレン・E・フィッシャーが言うように、生物学的な女性の結婚の目的が妊娠と産後数年の生存確率上昇にあるから、なのでしょうか。それとも、その時期に新たに結婚する夫婦に何か離婚しにくい特徴があるのでしょうか。

 

*岩澤美帆(2008)「初婚・離婚の動向と出生率への影響」『人口問題研究64--4』pp.25